密集場所での作業
木の伐採は森林の密集場所などが多くなっています。これを間伐といいますが、立木が密生している場所で行う時は、伐倒した木が隣の木に寄りかかって完全に倒れなくなる「かかり木」が発生しやすくなります。かかり木はそのまま放置していると突然倒れることもあって特に危険なので、その場で対処しなければなりません。
対処方法としては、いろいろなケースがあるのですが、例えば「ツル」の調整をして伐倒木を回転させたり、フェリングレバーと呼ばれる木回し棒を使って回して倒すような方法がとられます。
他にも危険度は高いのですが、かかり木に向かって新たな木を当てて両方の木を倒すあびせ倒しという技術もあり、安全性を重視したワイヤーで牽引するチルホール伐倒もあります。
さてこうして伐採した木は、各種用途向けに利用されることになるわけで、枝を落とし、流通方法に対応した長さに切って、ウインチやケーブルクレーン、グラップルなどで引き上げ、トラックや林内作業車で林外へ搬出されます。
椎茸のほだ木の場合では1m前後に切り、角材では4~5m単位で玉切りをして搬出しますが、大規模な緩い傾斜の伐採地なら、ブルドーザーなどの大型重機による引き出しも行われ、逆に奥地で特に高価な木材の場合はヘリコプターによる搬出も稀ですが行われることがあるそうです。
こうしてみると木こりによる伐採は計画的な作業の過程に組み込まれていることがわかると思いますが、連鎖的に事故が発生することも多く、それぞれ熟練した作業者がしっかり安全を確認しながら実施しなければならないのです。
しかし現実には、林業労働者の労働災害発生率は、工場労働者の10倍以上になっているようで、ある意味非常に危険な仕事の一つとされている点も知っておいた方がいいでしょう。